農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業 先端農業連携創造機構

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連携プロジェクト詳細

26年度採択

サンライズ先端農業コンソーシアム

住友化学の知見を活用し、パナソニックのICTクラウド、日産自動車の日産生産方式を農業分野に応用し、生産コストの低減・収益性の向上等を目指す

農業界代表:(有)クドウグリーンテック
経済界代表:住友化学(株)

コンソーシアム形成の経緯

 経団連では、民間主導で社会的課題の解決に取り組み、経済成長モデルを構築することを目的とする「未来都市プロジェクト」を実施し、このプロジェクトの一環として、愛媛県西条市で住友化学は2011年8月に農業法人サンライズファーム西条を設立しました。同社は、パナソニックや三菱重工業、JA西条、西条市からも出資を受け、経済界のノウハウを農業分野に取り入れるべく、農業界と経済界との連携に積極的に取り組んでいます。
 また、住友化学アグログループでは、農薬・肥料・農業資材から関連技術、農産物販売まで、農業経営を総合的に支援する「TSP(Total Solution Provider)事業」を展開し、また、TSP事業のモデル展開として、耕作放棄地を活用し、大分県で住化ファームおおいたを立ち上げました。農業に参入して数年が経過し、現状の営農モデルや栽培モデルのさらなる発展を目指すために外部リソースを利用しようとしていたところ、住友化学と日産自動車の担当者が知り合う機会を得て、日産自動車の製造工程で活用される日産生産方式のノウハウを、農業に導入することを企画していました。
 こうした中で、経団連を通じて「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」(以下、本事業)の紹介があり、こうした取り組みを広く一般の皆様に知っていただき、かねてより取り組んできた農業界と経済界の連携をさらに強化・発展させるためには、本事業は最適であると考え、「農業×ICT」「農業×モノづくり」の2つのコンセプトを1つのコンソーシアムで実現することを目的に、住友化学・パナソニックシステムネットワークス・日産自動車・クドウグリーンテック・サンライズファーム西条・住化ファームおおいたでサンライズ先端農業コンソーシアムが形成されました。

プロジェクトにかける想い
 パナソニックシステムネットワークスの「見える化システム」は、JGAPの認証に必要な記録機能を持つシステムとしても利用が期待されており、生産工程・出荷管理を一元化することで農産物のトレーサビリティ・食品の安全性の確保にもつなげることができます。
 また、日産自動車の「農業×モノづくり」の実証実験において取り組んだのは、現場の意識改革です。このプロジェクトが開始して半年が経過しましたが、現場の作業改善が進んだ結果、現場の雰囲気も変わりつつあり、従業員から積極的に改善しようという意見が出るようになってきています。
 直近の目標はクドウグリーンテック、サンライズファーム西条、住化ファームおおいたの経営改善ですが、将来的にはこのプロジェクトにおいて確立したシステム・ノウハウを水平展開する形で、全国の農業者に広く展開していきたいと考えています。


技術

(農業×ICT)
 愛媛県で実証を行う、パナソニックシステムネットワークスの『見える化システム』は』大きく分けて、出退勤管理システム・農作業の工程管理システム・農産物の出荷管理システム(トレーサビリティ)の3つのシステムから構成されています。
 すべてのシステムで共通して使われるのはカラーバーコードという、色の配列で情報を表現するコードになります。ほかの一般的なコードと比較し、①読み取りに専用機器を必要とせず、カメラがあれば一般のスマートフォンのカメラでも認識が可能、②コード自体は市販のプリンタで出力できる、③カメラの画角に入っていれば複数の荷物(最大100個)を一括して認識できる等の利点を備えています。
 勤怠管理は、従業員が出勤時に事務所のドア等に貼付してあるカラーバーコードを、自身のスマートフォンで読み取ることで、クラウドサービスで出勤データが記録管理され、従来は手作業で行っていた勤怠管理の手間を大幅に削減できます。
 生産工程管理の流れは、まず作業を始める前に、圃場に設置している立札に貼付されているカラーバーコードをスマートフォンで読み取ります。すると、圃場に設置しているカメラが圃場の様子を自動で撮影し、クラウドサービス上に圃場への入場記録として保存されます。この入場記録ログを集計することで、それぞれの場所・作業に費やした時間が管理でき、改善に向けた生産工程管理を可能にします。また、作業者のスマートフォンにはその場所で実施すべき作業が表示され、作業内容の確認ができます。
 出荷管理は、出荷前の農産物が入ったコンテナをスマートフォンのカメラで写すだけで完了します。カメラの画角内にあるカラーバーコード(最大100個)は一括して認識することができ、出荷物の情報はクラウドへ送信されます。

(農業×モノづくり)
 一方、大分県の住化ファームおおいたで実証実験を行っている、日産自動車が製造業で培った技術・ノウハウの農業分野への応用は、「農業×モノづくり」といったコンセプトのもと、「農業の見える化」を実証することで、生産コストの低減・収益性の向上等を実現し、現場の農業者と連携して、農業現場で実用・普及が可能な技術・ノウハウを確立することを目標にしています。
 具体的には、栽培・収穫・選果など全ての作業に対してどのような労務・動線のムダがあるかを把握し、製造業の知見から、農業現場を改善することを実証するもので、5Sから始まり、動線を把握したうえで仮説を設定し、改善提案を行い、実際に行動に移します。また労務費以外の生産コスト削減の為の活動も並行して実施しています。

[更新]

将来展望

 パナソニックシステムネットワークスの「農業×ICT」については、『工場見える化システム』の農業分野への応用により、従来は手作業で行っていた出退勤・出荷管理に関する事務作業を削減し、作業時間の10%短縮を想定しています。また、生産工程管理によるデータ分析・作業の最適化により生産性15%向上を目標としています。
 日産自動車の「農業×モノづくり」については、数値目標としては、生産コストの30%削減を目標値として設定しています。今後は将来におけるノウハウの普及という観点から、コンサルティングという形態ではなく、このプロジェクトで蓄積したノウハウを、農業者が活用しやすい形にして提供することが重要と考えています。また、地域農業への貢献として、合理化という観点から新規就農者をサポートしていく組織になることを目標としています。

事業二年度目

事業二年度目の状況

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(農業×ICT)
 ICTに対して苦手意識のある農業従事者に対して、簡便で使いやすいシステムを導入することが課題でした。特にクドウグリーンテックにおいて当該傾向が強かったため、実証1年目は出退勤管理システムの導入にとどまっていました。しかし、経済界側で簡便なインターフェースの導入や入力項目を検討することで、実証2年度目からはクドウグリーンテックにおいても作業工程システムを導入することができ、システムに対する苦手意識も薄れていますシステムの導入により、従前より感覚として把握していた作業時間や移動時間の不効率な部分が数値により明確化され、改善への意欲や効果のある施策を検討することが可能になりました。また、個々の作物を製品と考え、製品ごとのコスト構造が見える ようになったため、経営の効率化の指標に役立っています。
 今後は、地域農家への拡大実証を検討していますが、地域における一般農家のICTスキルの問題と、当該ICTスキルの問題から派生して、一般農家の大半を占める高齢者へのユーザーサポートに要するコスト面も普及へのボトルネックとなっています。地域の集落や部会単位でICTに苦手意識のない方を見つけ、普及の一役を担っていただけるようにマニュアル化、活用方法、メリットの訴求、インターフェースの改良などに取り組んでいます。

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(農業×モノづくり)
 「農業×モノづくり」といったコンセプトのもと栽培・収穫・選果など全ての作業に対してどのような労務・動線のムダがあるかを把握し、製造業の知見から、農業現場を改善することを実証しています。具体例としては、従前パッキング作業については、各人が個別に選定から包装まで全ての作業を行っていましたが、今年度より工程別に分業制とし、作業効率がかなりアップしました。また、手作業で行っていた集荷トマトの軽トラックへの搬送、積み下ろしなどの重筋作業は、コロコンを導入することによる回避を図りました。これにより従前は1人工1時間当たり40kgであった収量を80kgまで増加させることが可能となりました。
 今後もパッキング作業のレイアウトをさらに検討し、より効率的なラインを完成させ作業の標準化を目指す予定です。農業では、相手が植物だから作業がそれぞれ違っても仕方ないという意識があるように思われますが、企業の視点をあてはめ、標準化できるものは標準化させていきたいと考えています。
 普及方法について、コンサルタント方式による個別の農業生産者への普及は、日産が持つコンサルタントの人数を考えると対応が厳しいと感じています。そこで、ノウハウを体系化し、教育の場への普及を考えています。具体的には、農業大学校や県の農業普及指導員などに対し教育の場において教材として取り入れてもらうことや、引退して農業を始めるシニア層のセカンドライフのためのツールとしてノウハウ体系化を行っているところです。
 

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